「トイレトレーニングのコツは?」根本先生が教える!子育ての悩みを解決するアイデア集 Vol.3(全5)【排泄】
子育てママたちから数多く寄せられたお悩みについて、社会福祉法人地球の子ども会 ちゃいるどはうす森のほいくえん 理事長の根本華誉(ねもとかよ)先生にお話を伺いました。
2歳の男の子です。トイレに行くのを嫌がります。どうしたらトイレットトレーニングが上手くいくでしょうか?
お子さんが紙おむつか、トレーニングパンツか普通のパンツか、それがいつ頃からか、また、排泄間隔が何時間くらいか等によりますので、個人ではなく一般的な回答をさせていただきます。
排泄と運動機能の関わりについて
実は幼い子どもの排泄についてお話しするときには「自分の意志で体を動かすことができる運動機能」と関わりが大きいことを知っていただく必要があります。
生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ自分の意志でできることが限られていてほとんどのことができません。大きな要因は自分の意志で体を動かすことできないからです。
自分の意志で体を動かすためには脳の神経細胞の発達が関係するのですが、赤ちゃんはその神経細胞が未熟な状態で生まれてきます。
人間の新生児は、脳が巨大化していてそれ以上大きくなったら、産道が通れなくなるので、未熟な状態で生まれてくるのです。
私たちは生命を維持するために食事をとります。食べたものは口から食道を通り胃へ、栄養を吸収しながら必要のないものは消化器官で消化され、排出されます。
赤ちゃんはおっぱいを吸ったり飲み込んだりすることはできるのでIN(入れる事)は自分の意志でできます。ただし、排泄する時には意志ではなく、なされるままという感じです。OUT(止めたり、出したりする事)ができないため、『おむつ』を付けているわけです。
私たちが排泄を、我慢したり、体外に出す時には筋肉の操作をしています。尿は膀胱括約筋、便は肛門括約筋という丸い筋肉を働かせて、止めたり出したりしています。
お気づきでしょう!
その筋肉操作の状況により、おむつを取る練習ができるということです。ですからトイレットトレーニングには適した時期があります。
トイレトレーニングをスタートするタイミングは?
8~9ヶ月頃になると尿管肛門括約筋の辺りまで神経系の発達は進んでくるので、道具は整い物理的にはコントロールが可能になってきます。
次に必要になるのは本人の意識です。
今までいっぱいになると自然に出ていたものが、自分の中から『何かたまったものが出ていった』ということを感じ取れるかどうかということです。
感じるかどうかというキーワードが出てきたので、ここで、おむつの違いを考えていきましょう。
■紙おむつを使用している場合
新生児からずっと吸水性の良い紙おむつを付けている場合は尿道や肛門から伝わる出た時の感覚はあるものの、『ぬれて気持ちが悪い』という結果は感じ取ることはできません。
紙おむつは主にお金を払う養育者のための道具として販売されているため、どうしても吸収性や通気性がとても良く赤ちゃん自信が排泄を感じるような機能になっていないものが多いです。
■布おむつをしている場合
出た時の感覚と『ぬれて気持ちが悪い』という結果が結び付くため、よりおしっこやうんちについて感覚的に捉え吸収し、概念形成しやすいと言えます。
※おむつの違いについてはお母さん等直接養育者の負担軽減等多方面でのメリットも多くありますから、知識として知ったうえで選べるツールとして参考に掲載しています。
中には湿り気を感じるものもありますので興味があれば探してみてください。おすすめです。
おむつを取ることだけを考えるなら濡れた感覚を子ども自身が感じ取ることが大切だということはご理解いただけたと思います。
トイレットトレーニングの具体的な例を紹介しましょう
ステップ0:準備期(8~9か月)
それまで吸水性、通気性に優れた紙おむつで過ごした場合はこの頃から濡れた感覚の感じられるおむつやパンツに移行していくとよいでしょう。
ステップ1:スタート期
【適した時期】
①安定したお座り~一人歩き
②シー(おしっこ)等言葉の理解
③2時間以上膀胱に溜めていられる
トイレが何をする場所なのか子どもに教えてあげたり、トイレの環境を整えたりしておきましょう。
(絵本・動画・トイレの前に足跡シールを付けてその足跡を辿ってトイレに行く…等)
ステップ2:実践期
- お家の方がトイレで用を足しているところを見せてあげる等して、トイレで排泄するイメージを作ります。
- トイレにオマルを置いて真似っこしてもらいましょう。
- たまたま座っておしっこが出来るようになり、おしっこの間隔もあいてきたら、起床時や遊びが一段落したときなどに少しずつ意図的にトイレに誘ってあげるようにしましょう。
ステップ3:習慣化期
繰り返しトイレに行くことで理解が進んでいきます。無理矢理しないことが大切です。
時々でも自分からトイレを知らせるようになれば、スムーズに進みます。しかし、まだ焦ってはいけません。
5回のうち4回くらい、出てからではなく出る前に尿意を伝えることができるようになったら、ひとまずはゴール!時々失敗しても笑顔で!
トイレに行くお楽しみ遊び 〜ちゃいるどはうす森のほいくえんのお子様たちの様子~
直接的な遊び:トイレの中でシール遊び
トイレに行ったり、補助便座に座れたらシールを1つ、出たらシール1つなど、繰り返し行く楽しみや「またトイレにこれた」という達成感を持たせてあげるためのグッズも検討してあげると楽しくトイレに行くキッカケになります。
間接的な遊び:ドールハウスなどで人形遊び
トイレタイムをルーティンに!
2歳を過ぎてもトイレトレーニングがなかなか進まない場合はこんな遊びを取り入れてみては?
【朝】
ベットから起きます。次にトイレで排泄。次に洗面所で顔を洗い、歯を磨きます。次はテーブルでご飯を食べます。そしてまたトイレで排泄します。カバンを持ってお出かけします。
【夕方】
帰ってきたらトイレで排泄します。キッチンでご飯を作ります。テーブルでご飯を食べます。自由に遊びます。またトイレで排泄。お風呂に入ります。就寝前にトイレで排泄。ベットで寝ます。
2歳くらいのお子さんは『秩序』にとても敏感な時期です。この敏感性は概念形成をしていくのにとても役立ちます。
子どもは感覚体験から溜め込まれた混沌としたイメージをカテゴリー化しながら『秩序(同じ・違う・順番)』を働かせ概念形成しています。そのため、トイレだけ抜き出すのではなく、ここでは何をするか?ということをお家の方と一緒にお話ししながら遊ぶことで自然に『トイレで排泄』も吸収していきます。
この遊びは、言語の発達や創造性、想像力も育まれるためおすすめです。
『トイレトレーニング』におすすめの知育玩具
シールブックにはサーキットが描かれています。かわいい動物や車のシールを貼ってみましょう。どんな物語ができるかな?幼児期の想像力を育むシール工作キットです。
DJECO(ジェコ)
DJ09073 クリエイト ステッカー カーズ
対象年齢:18ヶ月~
商品サイズ:43×23㎝
川や道路、お家が描かれた絵本に、シールを貼っていきましょう。シールには、動物や車などがあります。
貼ってはがせるので、繰り返し遊ぶことができます。
DJECO(ジェコ)
DJ09071 クリエイト ステッカー アニマルズ
対象年齢:18ヶ月~
商品サイズ:43×23㎝
ドールハウス用のバスルームです。
シャワールーム、洗面台、トイレがセットになっています。
DJECO(ジェコ)
DJ07824 バズ ルーム
対象年齢:4歳~
パッケージサイズ:約25.5×19×6㎝
【監修】社会福祉法人地球の子ども会 理事長 ちゃいるどはうす森のほいくえん園長
根本 華誉(ねもと かよ)先生
https://www.childhouse.ed.jp/
【プロフィール】
1967年茨城県水戸市生まれ
日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成センターでは「0歳~3歳コース」「3歳~
6歳コース」のディプロマ取得後、令和元年まで10年間日本モンテッソーリ教育綜合研究
所研究員、令和4年度まで12年間同研究所教師養成センターで講師。
AMI国際モンテッソーリ協会公認『乳児アシスタントコース』ではイタリアの精神科医
でモンテッソーリ教育の第一人者であるDr.シルバーナ・Q.モンタナーロ(国際モンテッ
ソーリ教師トレーニングコース0~3歳所長)より直接教授を受け ディプロマ取得。
保育士免許取得。調理師免許取得。赤十字幼児安全法支援員。幼児体育指導者資格取得。
【現 職】
社会福祉法人地球の子ども会理事長として4施設運営/ちゃいるどはうす森のほいくえん/
ちゃいるどはうす保育園/小規模保育園ちゃいるどはうす小さなおうち/小規模保育園ちゃ
いるどはうすNido&Infant /水戸市地域子育て支援センター『バンビーニ広場』設置 /北関
東モンテッソーリ教育研究会専任講師/静岡モンテッソーリ教育研究会専任講師/他日本
をはじめアジア各地の団体・短大等で講義を担当。
法人本部の自然教育とモンテッソーリ教育を柱にしている「ちゃいるどはうす森のほいくえん」
にはコロナ前には年間400名を超える視察研修者が世界中から訪れた。
今年度から視察研修再開。
【その他】
日本モンテッソーリ協会(学会)会員・AMI国際モンテッソーリ協会本部会員・AMI友の会NIPPON
会員・特定非営利活動法人モンテッソーリTUDOI会員・森のようちえん全国ネットワーク会員
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