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ひとつひとつの玩具に込められた思い【松浦先生より】

大人の手に乗っている子供の手

日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成センター長・松浦学園子どもの家 園長 松浦先生より、教育者の目線から子供の発達・成長、玩具との関わり方、私たち(モーカルインターナショナル)の取り組みについてお話をお伺いしました。

以下、松浦先生より

「子どもには課せられた宿題がある」って知っていました?

子どもには命を授かった瞬間から宿題が課せられていると言った教育者がいました。モンテッソーリ教育の創始者、マリア・モンテッソーリです。そして、その宿題は「発達」だというのです。

「発達」ということばはよく聞きますが、詳しく説明しようと思うと何となく漠然としてまとまりません。簡単に言うと、「発達」とは何かができるようになったり、わかるようになったりすることです。

生まれたばかりの赤ちゃんはほとんど何もできません。ですから周りの大人が手助けしてあげます。しかし、数週間の内に赤ちゃんにはできるようになることが現れてきます。

例えば、一点をじっと見つめることができるようになったり、首が座って自分の見たいところを見ることができるようになったり、物を握ることができるようになったり、握った物を穴に落とすことができるようになったり、積み重ねることができるようになったり。

1歳のお誕生を迎える頃には立ち上がり歩き始める子どもでてきますし、もう少しすればしゃべり始めますね。これらがすべて「発達」です。

生物学的には赤ちゃんはヒトという種が絶滅しないために生まれてきます。しかし、教育学的には赤ちゃんは発達を遂げるために生まれてくるのです。赤ちゃんは無意識です。

2歳代の中頃までは人生で唯一記憶に残らない無意識の時期を過ごします。しかし、無意識の中でもどの子どもも「できるようになりたい」と思っています。「発達」は子どもの強い望みなのです。

乳幼児期には何ができるようになるのか?

できるようになること、つまり「発達」が子どもに課せられた宿題であることは事実ですが、小学校に上がる前の子どもが自動車を運転したり、ましてや飛行機を操縦したりするようにはなりませんし、国の行く末を左右するような政治的判断ができるようにもなりません。

乳幼児期にはこの時期にできるようにならなければならない「発達の課題」があります。誕生時にはほとんど何もできなかった赤ちゃんが小学校に上がるころには何ができるようになっているでしょうか。それが「発達の課題」です。

まずはことばです。泣き声しか上げられなかった赤ちゃんがしゃべり、聞き、読み、書くことができるようになっていきます。「言語の発達」です。

次に、動きが身に付いて、いろいろなことができるようになりますね。首が座り、寝返りを打つようになり、腕を動かして物に触れるようになり、触れた物を握るようになりといった感じです。これらの動きは教育的には「運動」と言います。つまり「運動の発達」もありますね。

まだまだあります。実は生まれたばかりの赤ちゃんはほとんど目が見えません。つまり視力がほとんどありません。目で見る視覚は生後に発達を遂げます。視覚に限らず五感と呼ばれる「感覚の発達」も課題の一つです。

誕生後の2年、2年半くらいは無意識だと言いました。しかし、その内に意識が芽生えて、自分は誰なのか、ここはどこなのか、この人は誰なのかがはっきりとわかるようになります。これは「意識や意志の発達」と言います。これも発達の課題の一つです。

小学校に上がるころにはかなり難しいことも分かるようになってきますね。大人顔負けの知識を持っている子も現れます。これは理解力が培われてくるからです。これは「認知の発達」と言います。

最後の発達の課題は、人との関わりに必要なことになります。私達人間は社会を形成して集団で生活をします。そのためには他者の邪魔をしたり、他者を傷つけたりすることはしません。

そのような善悪が分かり、他者と協調して生きていくために必要な課題が「人間関係や社会性の発達」と呼ばれるものです。

まとめてみましょう。乳幼児期の発達の課題、つまり身に付かなければならないことは、

「言語の発達」
「運動の発達」
「感覚の発達」
「意識や意志の発達」
「認知(理解力)の発達」
「社会性の発達(人との関わり)」

の6つであることが分かりました。これらはこの先、長い人生を生きていくために必要なことばかりであることにお気づきでしょうか。

ずっと身に付けておかなければならないことだからこそ、人生の出発点の乳幼児期という出発点がそれらを身に付ける時期なのです。ということは、この時期にこれらが身に付いたり、育っていなかったりするとその後の長い人生が生きにくくなってしまうということです。

子どもはどのようにしてできるようになる、発達の課題をクリア―していくのでしょうか?

私達大人は一般的に教えることが子どもに対する役目だと盲目的に思い込んでいます。そして、その専門家が教育現場の先生だと考えます。

ですから、先生の仕事は子どもに教えることだと思っています。

しかし、振り返ってみましょう。誕生した赤ちゃんに歩行の練習をさせて、教えて、訓練して歩くようにさせたでしょうか。赤ちゃんの時から体操教室に通わせて歩くようになったのでしょうか。ことばはどうでしょう。ことばの教室に通わせましたか。そんな子ども世界中探しても一人もいないでしょう。

私達は無意識の内に、知らない内にいつの間にか歩けるようになっていたり、しゃべることができるようになったりしていることに気付くでしょう。

ということは、何かができるようになる、発達を遂げるための原動力は最初から子どもの中に秘められているということです。このエネルギーのことを「自己教育力」と言います。

どの子どもにもこの自己教育力というすばらしい力が内在しているのです。しかし、誕生時にはそれがまだ表には出てきていないので何もできないように見えるのです。

そして、私達大人はその見えるところだけに目を向けて、この子達は確かにかわいいけれども頭の中はあたかも空っぽであるかのようにいろいろなことを教えてできるようにさせようとします。できないのが当たり前のような接し方をします。

しかし、実は子ども達は思っている以上に有能な存在です。子どもの「自己教育力」を信じるのであれば、大人は子どもの育ちの邪魔をすべきではありません。子どもが自分の力でできるようになることをもっと見守らなければなりません。

子どもの自己教育力は環境に注がれます!

いくら子どもに自分で様々なことができるようになる自己教育力があっても、その自己養育力の対象が子どもの身の回り、つまり環境に存在しなければ自己教育力は活かされません。発達は遂げられません。

ことばを例に挙げて考えてみましょう。子どもには生まれながらにことばを獲得するための自己教育力が備わっています。

しかし、もし、赤ちゃんの周りに語り掛けてくれるお母さんやお父さんがいなかったら、周りにことばの環境がなかったらその子は2歳になっても3歳になっても一言もしゃべらないでしょう。ことばの環境がありさえすれば、スポンジが水をすーっと吸い取るようにことばは吸収され、しゃべり始める姿が出てくるのです。

運動の発達も同じようになされていきます。腕を動かすことができるようになるためには、腕を動かしたくなるような目的になる物が腕の届く範囲にあることが欠かせません。手の届かないところにあっても駄目です。なぜならば「できた」という発達に繋がらないからです。子どもの育ちに必要な経験は「達成感」です。

子どもにはもともと自発性や意欲があります。じっとしている子どもはいません。必ず何かやろうとします。それが自発性です。

でも自分から関わったことができないままで終わってしまう経験が多いと子どもは学びます。「ぼくは、わたしは何をやっても中途半端。できない存在なんだ」と。すると子どもの自発性はなくなり、意欲は失せ、無気力な姿が出てきます。本来のなるべき子どもの姿ではありません。

反対に、自分の力で「できた」を数多く経験した子どもは自分に有能感を感じ、自信が芽生えてきます。この自信は新たなことにも挑戦していこうとする意欲につながります。この有能感、自信、意欲がこれからの社会で必要とされる「問題解決能力」につながっていきます。

これらの能力は教えて身に付くものではありません。子どもが自分から環境にあるものに関わって、自分の力で身に付けていく能力です。

外部から大人や先生によって教えられることは点数になります。こういった能力は認知能力と呼ばれます。これからの時代はこの認知能力だけでなく、点数にしにくい、もしくはならない非認知能力が必要とされます。

なぜならば、子ども達は実社会で活躍する20年後の社会は今とは全く違う社会になっているはずだからです。

非認知能力には前出の意欲や自信、問題解決能力の他に、思いやりや責任感、協調性などが挙げられます。大人が教えることのできることは、自分達が経験したこと、知っていることだけです。

しかし、子ども達は私達の知らない、経験したことのない社会で生きていかなければならないのです。そこで必要とされる能力が自分の力で解決していこうとする「問題解決能力」なのです。他者と協調して新しいものを想像していく力なのです。

持って生まれた自己教育力を存分に発揮し、自分でできるようになる、わかるようになる経験のために自己教育力が注がれる環境はとても大切であることがお分かりいただけたと思います。

環境として必要な玩具

もし、ご家庭にお子さんの発達の段階に合った玩具があるのであれば、必ずお子さんは自分からその玩具に関わろうとする姿が出てくるでしょう。なぜならば発達が、できるようになることが課せられた宿題だからです。

私達人間は最初から発達が完成していることは一つもありません。できるようになるためには「練習」が必要です。練習は繰り返すことです。

誕生時の新生児にもできることが少ないけれどもあります。それは息をすること。これは産声から始まります。そして、お母さんの乳首に吸い付くこと。それからそこから出てくる母乳をごっくんと飲むこと。この3つくらいはできます。

しかし、実はこれらもお母さんの子宮の中にいた胎児の時に練習をしていたことが今では検証されています。

吸い付くことは自分の指をしゃぶることで、飲むことは子宮内の液体である羊水を飲むことで、そして、息をすることはやはり羊水を鼻から吸い込んで肺に送り、そこから逆に鼻から吐き出すことで練習しているのです。無意識の胎児でさえもこれから生きていくために必要なことを知っているということです。

この姿を見るだけでも自己教育力の存在を感じることができますね。誕生前の、まだ誰とも出会っていない時から、自分が生きていくための必要なことを自分の力で身に付けていこうとする姿に子どもの有能さを感じませんか。

もしお子さんが玩具に集中して関わって何回も何回も繰り返しやっているようであれば、それが発達を遂げる正しい姿です。

モーカルインターナショナルの玩具の位置づけ

つみきで遊んでいる子ども

これまでのお話しからモーカルインターナショナルの玩具に対する思いがご理解いただけるのではないでしょうか。

ピックアップされた玩具の数々は乳幼児期の子どもの発達を援けるものなのです。大人目線で「これが可愛らしい」「これが子どもっぽい」という視点ではなく、優先課題を「発達」に置いているのです。

どの玩具も子どもの感覚を刺激し、そこに子どもが手を使って動きを伴った関わり方をするものばかりです。感覚や運動の発達が促されます。保護者からのことばがそこに介在することで言語の発達や社会性の発達が促されます。

自分の発達の課題に見合った玩具があれば、必ず子どもは自分から関わろうとします。そして、できるようになるために集中して、繰り返します。この姿は意志の発達や理解力、認知の発達を促す姿です。

これらの玩具は単なる玩具ではありません。意味のあるものです。子どもを私達大人と同じ人格を持った存在として敬意を表すのであれば、私達は子どもにとって意味のあることをしなければなりません。そういったコンセプトがここにはあります。

そして、それをご理解いただいてお子さんと関わる保護者のみなさんにとってもこれは意味のあることになります。

子どもも育つ、そして、大人も育つ。その媒介としてのモーカルインターナショナルの玩具を私はお勧めします。


松浦学園子どもの家 園長
日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成センター長
松浦 公紀 さん
松浦学園 モンテッソーリ 子どもの家 (matsuura-monte.com)

【プロフィール】
1957年 静岡県静岡市生まれ
アメリカ合衆国ニュージャージー州コロンビア高等学校卒
中央大学法学部卒

▪ 日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成センターでモンテッソーリ教師としての資格取得
▪ アメリカ合衆国テキサス州サウスウエスタンモンテッソーリトレーニングセンター小学校課程卒、モンテッソーリ小学校教師資格取得
▪ 静岡市において「松浦学園子どもの家」を主催
▪ 神山認定こども園名誉園長
▪ ちゃいるどはうす森のほいくえん名誉園長
▪ ちゃいるどはうす中吉田名誉園長
▪ 横浜こもれび福祉の会理事
▪ 日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成センター長
▪ 国内外のモンテッソーリ教育研究会講師
▪ 常葉大学短期大学部保育科非常勤講師

【著書】

・幼児のちから
・モンテッソーリ教育が見守る子どもの学び
・0歳~3歳のちから
・何が変わった どう変わった 子どもの姿
・感じる・目覚める・育つ(共著)
・モンテッソーリで育つ!自分で考える子ども(DVD付き)
・モンテッソーリの子育て 大人が子どもにできること(DVD付き)
・モンテッソーリの子育て 子どもの力を引き出す環境(DVD付き)
・できるが増えるモンテッソーリ教育の秘密
・モンテッソーリ教育に学ぶ子どもの見方(DVD)
・小さな子どものモンテッソーリ    (DVD)
・モンテッソーリ子育て15か条
・モンテプラスモンテッソーリ式ドリルシリーズ
・モンテプラスモンテッソーリ式パズル、カードシリーズ
・モンテッソーリはじめてのブロック

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