「偏食が心配…このままでも大丈夫?」根本先生が教える!子育ての悩みを解決するアイデア集 Vol.2(全5シリーズ)【食事】
子育てママたちから数多く寄せられたお悩みについて、社会福祉法人地球の子ども会 ちゃいるどはうす森のほいくえん 理事長の根本華誉(ねもとかよ)先生にお話を伺いました。
食欲はあるものの食べむらがあり、好きなものばかり欲しがります。このままで大丈夫でしょうか?
2歳前後になったら子どもが急に好き嫌いをするようになった…と悩んでいるママはかなりたくさんいます。今回は『食事』についてお話していきたいと思います。
子どもが偏食をする原因
離乳食の時にはたくさん食べていたのに2歳になると、どうして好き嫌いをするようになってしまうか不思議に思いますよね。
それは感覚が発達して匂いや味から自分の意志で好き嫌いを判断できるようになることに加え、イヤイヤ期を迎えるためです。
人間の舌には味を感じるための細胞があります。子どもの方が大人よりもその細胞数が多いので味をより敏感に感じてしまうことも、子どもが偏食をする原因の1つになります。
人間の舌は生存の為に毒や危険を察知することが出来ます。その為、酸味や苦みに敏感に反応するようになっているので、子どもは、本能的にピーマンなどの苦みのある食べ物を嫌う傾向にもあります。
成長につれて食に関する経験を積んでいくと味を感じる細胞数が減るため、味の好みが変わっていきます。
子どもの偏食や栄養を心配して、苦手なものを無理にでも食べさせようとしてしまう事もあると思いますが、子どもが食べたくないと言っているものを無理に食べさせてしまうとトラウマになり、さらにその食べ物を嫌いになってしまう可能性もありますから逆効果になります。
ただ、子どもが嫌いな食材を食卓に出さないようにすると、その食材に対する興味もわかなくなり、経験を積めなくなってしまうので、苦手な食材を克服してあげたい場合は、
子ども自身が「今日は食べてみようかな」という気分になるまで味付けや調理方法を変えて繰り返し食卓には出していくとよいです。
ピンチョスやスティック状の食べやすいもの、ジュースにする等工夫して子どもが喜ぶメニューを先に食卓に置いておくと知らないうちに食べていることもあります。
≪偏食の原因になっていること≫
●味が嫌い
●見た目が嫌い
●匂いが嫌い
●お腹がすいていない
●以前嫌な思いをした
●先に好きな物を食べたい
●遊びたい
●「嫌」と言いたい気分だった
こうした原因を1つ1つ取り除くことで、2歳児の好き嫌いを解消できる場合もあります。
ちゃいるどはうす森のほいくえんのお子様たちの食事の様子
準備から片付けまで一部でもいいので子どもに関わらせてあげることが大切です。自分で準備することで、食事は人に言われてするものではなく、自分でするものであるという意識が芽生えます。
食べる量も自分で決めます。初めは自分がどれくらい食べられるか考えることは難しいので少量で簡単に完食できる量を皿にのせます。そこから『おかわり』という形で足せるように食卓におかわり用の皿とトングを準備してあげるとよいでしょう。
イヤイヤ多い量を詰め込むような食事では子どもは食事そのものを嫌になってしまいます。その点子どもにとって『おかわり』は魔法のような言葉です。自分が何度も挑戦して皿がピカピカになることで達成感や満足感を味わうことができるからです。満足した子どもはきっと自分のお皿を嬉しそうに片付けてくれることでしょう。
子ども達は『おんなじ』が大好き!
こちらの写真は絵本の中の食事をしているシーンです。
こんな風におやつを食べたいと言い出した子ども達は紙のランチョンマットに自分たちでお皿などの食具の位置を描きおやつをいただきました。
秩序性が内在されている子ども達は『おんなじ』という事が大好きです。こちらの写真の玩具はそれが体験できそうですね。
野菜や果物のパズルで食育
実際の野菜や果物と一緒においてあげると、パズルとしての活動以外にも五感を使って感覚的な印象を本物から吸収することが出来ます。
本物は見た目や手触り、匂いや味などを確かめることが出来て『キウイフルーツはこんな形でこんな色、ざらざらしていてこんな匂い、食べるとこんな味!』とその物の概念を知ることが出来ます。
五感を刺激することは子どもの興味関心に繋がり「食べてみたい!」という気持ちを引き出してあげることも出来ます。ものの名前も覚えるので言葉の発達も促されていきます。
パズルには、はめられる方の枠とはめる方があります。今回枠は使わずに、はめる方のみを使って実際の野菜とペアリング(おんなじ物を見つける)をしました。
特に2歳前後の子どもは秩序に敏感な時期です。「おんなじ」「ちがう」「じゅんばん」ということに拘る時期です。その拘りを上手く利用した遊び方です。子どもは自分自身が関わったことに対して興味を持つことが多いので、「食べてみたい!」という気持ちにも繋がります。
活動の後この子はとうもろこしを調理室にもっていきました。3時のおやつには茹で上がったトウモロコシをみんなで美味しくいただきました。野菜や果物は身近にあるものですから簡単に試せます。是非やってみてください。
※このパズルのおすすめポイントは、実際の野菜や果物に近い絵で示されていて具体物に近く「同じ」であるという認識がしやすいというところです。
パズルは微細運動のコントロールや感覚の分離を発達させてくれるものですが、特に小さなお子さんの概念形成や言語面の発達にも目を向けるのであれば、具体物に近いものからはじまり、だんだんに抽象的なものに移行していくとよいでしょう。
『食事』におすすめの知育玩具
料理から食卓までのおままごとができるキッチンセットです。猫がモチーフとなっていて、食器に猫や魚があしらわれています。
DJECO(ジェコ)
DJ06547 ディナータイム キトン
対象年齢:18ヶ月~
パッケージサイズ:約Φ18.5×17.5㎝
野菜をテーマにした、厚くてつかみやすい7ピースのペグパズル。
Classic world(クラシックワールド)
CL3742 ベジタブル ペグパズル
対象年齢:18ヶ月~
パッケージサイズ:約30×21×2㎝
果物をテーマにした、厚くてつかみやすい8ピースのペグパズル。
Classic world(クラシックワールド)
CL3743 ベジタブル ペグパズル
対象年齢:18ヶ月~
パッケージサイズ:約30×21×2㎝
【監修】社会福祉法人地球の子ども会 理事長 ちゃいるどはうす森のほいくえん園長
根本 華誉(ねもと かよ)先生
https://www.childhouse.ed.jp/
【プロフィール】
1967年茨城県水戸市生まれ
日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成センターでは「0歳~3歳コース」「3歳~
6歳コース」のディプロマ取得後、令和元年まで10年間日本モンテッソーリ教育綜合研究
所研究員、令和4年度まで12年間同研究所教師養成センターで講師。
AMI国際モンテッソーリ協会公認『乳児アシスタントコース』ではイタリアの精神科医
でモンテッソーリ教育の第一人者であるDr.シルバーナ・Q.モンタナーロ(国際モンテッ
ソーリ教師トレーニングコース0~3歳所長)より直接教授を受け ディプロマ取得。
保育士免許取得。調理師免許取得。赤十字幼児安全法支援員。幼児体育指導者資格取得。
【現 職】
社会福祉法人地球の子ども会理事長として4施設運営/ちゃいるどはうす森のほいくえん/
ちゃいるどはうす保育園/小規模保育園ちゃいるどはうす小さなおうち/小規模保育園ちゃ
いるどはうすNido&Infant /水戸市地域子育て支援センター『バンビーニ広場』設置 /北関
東モンテッソーリ教育研究会専任講師/静岡モンテッソーリ教育研究会専任講師/他日本
をはじめアジア各地の団体・短大等で講義を担当。
法人本部の自然教育とモンテッソーリ教育を柱にしている「ちゃいるどはうす森のほいくえん」
にはコロナ前には年間400名を超える視察研修者が世界中から訪れた。
今年度から視察研修再開。
【その他】
日本モンテッソーリ協会(学会)会員・AMI国際モンテッソーリ協会本部会員・AMI友の会NIPPON
会員・特定非営利活動法人モンテッソーリTUDOI会員・森のようちえん全国ネットワーク会員
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