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「1歳過ぎても歩かない!このまま様子を見ても大丈夫?」根本先生が教える!子育ての悩みを解決するアイデア集 Vol.4(全5)【運動】

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子育てママたちから数多く寄せられたお悩みについて、社会福祉法人地球の子ども会 ちゃいるどはうす森のほいくえん 理事長の根本華誉(ねもとかよ)先生にお話を伺いました。

1歳2か月の男の子です。まだ歩く兆候が見られません。どのように接してあげたらよいか悩んでいます。伝い歩きはしますが、つかまるものから絶対に手を放しません。普段は一人で床に下ろすと泣いてしまうので、抱っこ紐で抱いていることが多いです。

1歳を過ぎてくると歩けるようになることで行動範囲がぐんと広がり、自我が芽生えて好奇心も旺盛になります。また大人の言っていることを理解し、自分でも少しずつ言葉を発するようになってきます。

心身ともに成長の著しい1歳児は他児と比べると差があるのも普通です。
発達は平均的目安の時期にピッタリハマることが正解ではありませんので、発達の順番などのプロセスがあることを知り、月齢だけ捉えず段階ごとの正しい援助ができるよう以下参考にしてみてください。

赤ちゃんと言われていた乳児(0歳)が、1歳を過ぎるとできることがどんどん増えていきます。
赤ちゃんは一日一日成長していくので、その子の発達の様子に合わせて大人の接し方を変えていく必要があります。

運動面でいうと1歳の頃は足の先の方の筋肉も自分で考えたように少しずつ動かせるようになってくる頃です。支えがなくても足先のバランスを取り、自分だけで立ったりしゃがんだりできるようになっていきます。
個人差はありますが、1歳を過ぎると一人で歩き出す子どもも増えていきます。

子どもの心を想像すると、始めは恐る恐るで不安です。
手を放して立っていられる成功体験を感じたことが無い子は手を離すことが怖くてできません。

最初は焦らずに一人で立つ経験ができるようにサポートしていきましょう。

例としてはお母さんと手をつなぐときに指1本位でつないで、子どもの足の平全体が床についていることを確認してください。足の平がつかない場合は平を付ける体験量を増やすことから始めましょう。

大人側の力で誘導せず、子ども自身の体でゆらゆらしながら、安定して立っていられるバランスを探す経験が必要です。お母さんの指に触れている安心感があれば自分で体のバランスを取るようになっていきます。

次に大好きな握れるようなおもちゃがあれば2つ準備。
一つは初めに手をつながない方の手に持たせておきます。少し経ったら、お母さんの指を掴んでいる方の手の前におもちゃを知らん顔して差し出します。その時に知らん顔しながらがポイントです。

上手くいけば、そのおもちゃが欲しいという欲求や興味から一瞬手を放して、そのおもちゃを握ります。子どもよっては手に何かが触れているだけでも安心感を得られますので、気付いたら両手でおもちゃを握ったまま立っていた、なんていうこともあります。これは1歳前後の子どもは、持っているものを自分の意志で離すことがまだ上手くないので、無意識な中興味ある物に向かっていく本能と、その発達を使った方法です。

そのうちに一歩ずつ足を前に出すようになっていきます。伝い歩きの頃は横に足を出して移動していたのが、前に出すことで一人歩きになるのです。慣れてくると興味のあるほうへ向かってどんどん歩いていくようになります。

ここで出てきたキーワードが『興味』です。
この興味が怖さを上回れば子どもは支えていたバーや壁や棚やお母さんから手を放してその興味の方へ向かいます。

それが大好きなおもちゃであったり、お母さんが指に引っ掛けて持っていた鍵だったりもします。例えばその鍵に触れたいと思えば自分で動きだし気付いたら触れているということになります。

先程もお話ししたように歩き始める時期にはかなり個人差があります。これは赤ちゃんの運動発達の差だけではなく、性格などにも左右されるためです。慎重な子ほど歩き始めが遅れる傾向にあるともいわれています。

また次の4つのポイントを見てみましょう。

①骨格と筋肉に異常がない
②脳の神経細胞の発達
③転んだ時に手が出る
④無意識ではあるが歩きたい欲求がでている

①~③は運動機能に関わること④は精神(心)に関わることになります。

④の「歩きたい欲求」が弱いと、1歳半になってもなかなか歩き始めないことが考えられます。
これは運動機能にはあまり関係なく、怖がり屋さん、慎重など、性格に左右されるからです。
大人でも初めてのことにどんどんチャレンジする人もいれば、なかなか踏み出せない人もいますよね。赤ちゃんにも心があるので、心の原因もあるということです。

もう少し要求についてスポットを当てて考えてみましょう。            

今はお母さんにとって便利な道具がたくさん販売されています。
しっかり固定して抱っこし続けてもあまり疲れない抱っこ紐は、その用途の通り、お母さんも赤ちゃんもあまり疲れません。

赤ちゃんが疲れないという事は『楽』という事です。楽で大好きなお母さんと密着していられるのですから、それに慣れてしまうと、床になんか降りたくありません。寝返りやズリバイ(ハイハイ)お座りにつかまり立ちと赤ちゃんは自分で動きながら方法を学んでいきます。

それらを身につけていくためには自由に動ける適した環境が必要だという事です。難しいことではありません。ここでいう適した環境とは安全な床という事になります。

極端な話になりますが、抱っこの生活が長い子と床に降りている時間が長い子を想像してみるとお解かりの通り、床に降りている子は何らか自分の体を自分で動かし、動かし方を常に感じ、感じ取った感覚を体にしみこませています。一方で抱っこの時間が長いお子さんはその経験量に違いがでます。運動発達を促す経験量に差がでるということです。

付け加えて、抱っこが長い子はお母さんとの密着が心地よいので、歩きたい欲求より、抱っこしていてもらいたい欲求の方が強くなっていきます。

よって移動の運動を促してあげる最善の方法は『床に置いてあげること』になります。
そして自分で歩くことの喜びを十分に感じられるように、散歩や外遊び等を積極的に取り入れていくとよいですね。

とはいえ1歳半までにはほとんどの子どもが歩き始めるので、その頃になっても歩き始めないと、お家の方が心配になるのは当然です。
焦る必要のないことの方が多いのも事実ですが、心配な場合は1歳半になったら、検診などで相談してみるのもよいでしょう。

微細運動:手を使った微細的な運動

Q:器用な子に育てあげたいと思っています。どんな環境を与えてあげるとよいでしょう?

A:器用というと私たちは手の動きの事が先ず浮かぶと思います。

ですが、手先を器用に操作できるようになるためには移動の運動(粗大運動)が関係しています。
粗大運動とは、寝返る・這う・座る・立つ・歩く・走る・ジャンプするなど、からだ全体をつかった動きのことです。

粗大運動は体全部を使っているので体性感覚に働きかけその刺激を受けやすいので、感覚刺激が身体からに入りやすいと言えます。
感覚刺激をとりいれることができると、バランスがよくなったり、力の加減を調節ができるようになり、体性感覚が育ち、からだの動かし方がうまくなります。

このように粗大運動をとおして感覚刺激が入ることで、わたしたちは体の使い方を学んでいきます。

ようするに、手先を器用にするにはまず体づくりが大切だということです。
手先を上手く使うためには、活動しやすい姿勢づくりも大切になります。もしも体感が悪く姿勢がくずれているとどうでしょう。肘をついて体をささえたり、体に力が入りすぎてしまったりと手先を自由に使うことに支障が出てしまいます。ですので、手先をつかう遊びをするときは、姿勢も一緒に整えてあげましょう。粗大運動の発達が関わってくるのです。

赤ちゃんの頃からハイハイで段差を乗り越えたり、傾斜を上ったり下ったりしていると腰のあたりの筋肉もしっかり働きお座りしても身体を支え、手を使ってもバランスを取って座り続けることが出来るようになっていきます。今までハイハイで身体を支えていた手がお座りにより自由になります。その頃になると両手を使った遊びができるようになります。

物がなくても両手を叩き『シャンシャンシャン』と手ばたきしたり、ハンカチの両端をもって上下に動かし『いないいないバー』!このような遊びは7~8か月くらいになると喜んでするようになります。子どもには模倣の本能が強く備わっていますのでお母さんのマネをしてくれます。お見本を見せ一緒に遊んであげましょう。すぐにマネが始まります。

1歳半ごろになると歩行が安定してきます。その頃には自分でパンツ(おむつ)や靴下が脱げるようになったり、物をもって歩けるようになったりします。小さい子どもでも履きやすい靴もあります。そのような自分で出来そうなアイテムを準備してあげるとよいでしょう。

保育園ではこの頃の子ども達からジョウロを与え、お花に水をあげる環境を準備しています。

2歳を過ぎてきたころからボタンなどにも興味を持ちます。大きめのボタン付きのパジャマにするなど工夫してみるのも良いでしょう。

運動の発達は、自分の体を使って繰り返し活動する事で促されていきますので、日常の生活の中で子どもが出来そうな事は大人がなんでもやってあげないで、自分でさせてあげられるように心の余裕と時間の余裕を持つことが大切です。

手先と体全体を使った遊びを通して、子どもの発達を支えていきましょう!

ちゃいるどはうす森のほいくえんのお子様たちの様子

多様な動きを経験させてあげましょう

人差し指で上からプッシュし、押し切ったところで指を話すと短いスティックが飛び上がって抜けるというとてもワクワクするおもちゃです。

保育士さんたち大人にも刺激的と大人気です。押すことは簡単ですが、離すとき、一瞬でパッと指を離さなければなりません。そこが難しいところです。このおもちゃは瞬発的な決断とコントロール力が必要です。何度も繰り返すとそのうちにできるようになります。

何度も押して楽しんで、最初は偶然タイミングが合って成功する。という流れになると思います。大人は子ども自身がその感覚を発見するまで見本を見せながら自分で楽しんでください。子どもに教え込まずにいつかできること、そのプロセスを楽しみましょう。

ねじ回しのおもちゃ

手首をひねるという手の動きは、最近の日常生活の中では意図して与えないと子どもはあまりしない動きです。

昔はみんな蛇口をひねったものですが、現代の水道の器具は上げたり下げたり、最新のものは触れなくても手をかざせばお水が出てきます。便利ですが、子どもの運動発達を考えると便利より、少し不便な方が良いようです。

そこであえてひねるといういつもしない手の動きは手首の方形回内筋の他、前腕(肘から下の腕)から伸びている円回内筋や橈側手根屈筋にも働きます。そのためこのおもちゃは多様な手の動きの獲得という目的を考えると理にかなっているといえるでしょう。

『運動』におすすめの知育玩具

可愛い色のポップアップトイ。スティックを押すと内蔵のバネでポンッと勢いよくスティックが飛び出します。

単純な仕掛けですが子どもたちは期待した通りの動きに夢中になります。

TOY CREO(トイ クレオ)
L23539 ウッデン ポップアップ トイ
対象年齢:12ヶ月~

詳しくはこちら

動物たちの木製の知育パズル。3つのパーツを、ねじ回しをするようにひねることによりくっつけたり離したりできます。回して遊ぶことで、 手首のひねりを自然と覚え、手先の発達を促します。


DJECO(ジェコ)
DJ06304 ヴィスアニモ
対象年齢:18ヶ月~
パッケージサイズ:約12.5×22×6㎝

詳しくはこちら

【監修】社会福祉法人地球の子ども会 理事長 ちゃいるどはうす森のほいくえん園長根本 華誉(ねもと かよ)先生https://www.childhouse.ed.jp/

【プロフィール】1967年茨城県水戸市生まれ日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成センターでは「0歳~3歳コース」「3歳~6歳コース」のディプロマ取得後、令和元年まで10年間日本モンテッソーリ教育綜合研究所研究員、令和4年度まで12年間同研究所教師養成センターで講師。AMI国際モンテッソーリ協会公認『乳児アシスタントコース』ではイタリアの精神科医でモンテッソーリ教育の第一人者であるDr.シルバーナ・Q.モンタナーロ(国際モンテッソーリ教師トレーニングコース0~3歳所長)より直接教授を受け ディプロマ取得。保育士免許取得。調理師免許取得。赤十字幼児安全法支援員。幼児体育指導者資格取得。

【現 職】社会福祉法人地球の子ども会理事長として4施設運営/ちゃいるどはうす森のほいくえん/ちゃいるどはうす保育園/小規模保育園ちゃいるどはうす小さなおうち/小規模保育園ちゃいるどはうすNido&Infant /水戸市地域子育て支援センター『バンビーニ広場』設置 /北関東モンテッソーリ教育研究会専任講師/静岡モンテッソーリ教育研究会専任講師/他日本をはじめアジア各地の団体・短大等で講義を担当。法人本部の自然教育とモンテッソーリ教育を柱にしている「ちゃいるどはうす森のほいくえん」にはコロナ前には年間400名を超える視察研修者が世界中から訪れた。今年度から視察研修再開。

【その他】日本モンテッソーリ協会(学会)会員・AMI国際モンテッソーリ協会本部会員・AMI友の会NIPPON会員・特定非営利活動法人モンテッソーリTUDOI会員・森のようちえん全国ネットワーク会員

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