「家ではいい子・外では悪い子」注意が必要な理由とは?

おもちゃを部屋中に散らかして、泣いている子ども。
教育・子育て

懇談や家庭訪問のときに、担任の先生から「ちょっとご相談が…」という一言。

「実はお友達を突き飛ばしたり、大声で怒ったり、落ち着きがないんです」というように相談されて驚いたおとうさんやおかあさんが多いのではないでしょうか。

これまで育てやすいと感じていた我が子が、実は外では悪い子だったとしたら…。

どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?これには子どもなりの理由があります。

今回は家ではいい子・外では悪い子の子どもについて、原因や関わり方についてお話ししていきます。

例えばこんなケースは注意が必要

お母さんの手を振りほどいてどこかへ行こうとしている子ども。

家では率先してお手伝いをして、おとうさんやおかあさんの言うことをよく聞く聞き分けの良い子なのに対して、学校や保育園・幼稚園では違う一面を指摘されている場合は注意が必要です。

例えば、自分の思いと違うことがあったり、嫌なことがあると気持ちを抑えられなくて、お友達を突き飛ばしてしまったり、大声で怒る。

落ち着きがなくて、授業中や幼稚園・保育園での活動時に座っていられない。

など。

では、なぜ子どもはこのような行動を取るのでしょうか?

家で安心できなくなると子どもは外で発散するようになる

部屋に一人で立ちすくむ女の子。

子どもにとって家庭は、どんな自分でも受け入れてくれる・愛してくれる場所であることが理想的です。

しかし家庭が厳しすぎたり、夫婦関係が良くなかったり、家でいつも叱られてしまうような環境だと、子どもはこのように感じてしまいます。

  • いい子にしていないと愛してくれない
  • 悪いことをすると居場所がなくなっちゃう…

これは子どもにとって大きなストレスで、とても気が張っている状態です。

家庭で抱えている不安や緊張は、外で発散するようになってしまいます。

そうすると、おとうさんやおかあさんの前ではとてもいい子なのに、学校や保育園・幼稚園の先生やお友達の前では、ワガママ・乱暴で、懇談のときに指摘されるようになってしまいます。

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逆に家では悪い子・外ではいい子のほうが良い理由

部屋の窓から外を眺めて笑っている子ども。

逆に、懇談や家庭訪問で「お子さんすごいですね!リーダーシップがあって助かっています!」というように先生に褒められたときに、「家ではすごい手がかかるのに!?」と驚いた方も居るのではないでしょうか。

実は家では悪い子・外ではいい子は、育児の理想型のひとつなんです。

外ではいい子にしているからこそ家では気がゆるむ

先ほどお話ししたように、子どもにとって家庭はどんな自分も受け入れてくれて愛してくれる場であることが理想的です。

学校や保育園・幼稚園の懇談などで、「とてもいい子」「すごいですね」というように褒められることが多い子ほど、家ではワガママで手がかかる…と感じている方が多いのではないでしょうか。

実はこれは育児の成功例で、子どもが家庭を安心できる場所だとちゃんと認識してくれているという証拠です。

安心して自分を受け入れてくれる場所では、大人も子どももどうしても気がゆるみます。

この気のゆるみが外での緊張や不安を発散させるために、ワガママなどにつながっているんですね。

子どもが家でワガママ・イタズラをするのは親子の信頼関係のたまもの!

子どもが家庭でワガママ・イタズラ好きでいてくれるということは、親子間でちゃんと信頼関係を築けているということです。

もし愛されているかわからなければ、一番愛して欲しい人であるはずの親に対して、ワガママやイタズラをすることなんてできないはずです。

ワガママやイタズラの度が過ぎる場合は、しっかりと親子で話し合う必要がありますが、基本的には家でしっかり心の充電ができている証拠。

だからこそ、子どもは学校や幼稚園・保育園で頑張ることができるんですね。

もし家ではいい子・外では悪い子だったら関わり方見直そう

お父さん、お母さん、娘と3人で手をつないで散歩しています。

冒頭でお話ししたように、家ではいい子で手がかからないけれど、外では問題行動が多くて指摘されるという場合は注意が必要です。

ではどうやって注意していけばいいのでしょうか?

厳しく接しすぎていないか見直してみる

お友達が嫌がること繰り返しする、大声で怒るなどの問題行動が外で現れているなら、子どもが望んだことを満たされずに育っているかもしれません。

例えば、家庭で子どもがいけないことをしていたらすぐに叱っていませんか?

子どもは大人のように理性がまだ上手に働きませんから、「よくないこと」と分かっていながらも我慢できずにやってしまうことが多々あります。

大人は子どものこのような特性を理解してあげることが大切です。

すぐに指摘して「ダメでしょ!」というように叱るのではなく、言い聞かせるように「どうしたらいいと思う?」というように子どもの意見を聞いてみましょう。

「悪い子」というレッテルを張るのではなく欲求を満たしてあげる

外で悪い子だとわかったら、つい子どもを叱ったりしてしまいがちですが、子どもにも子どもなりの事情があることを理解してあげることが大切です。

お話ししてきたように、子どもが外で問題行動を起こすのは、家庭でのストレスを外で発散している可能性があります。

つまり子ども自身が望んでいる欲求が満たされていないんです。

子どもの欲求を満たしてあげるためには、

  1. 子どもの希望や意見を聞いてみる
  2. 子どもに過剰な要求や期待をしないようにする

この2つがとても大切です。

大人が子どもの意見を決めるのではなく、「どう思う?」というように子ども自身の意見を大人が聞くことが大切。

また、大人は子どもに過剰な要求や期待をしてしまいがちです。

例えば子どもが風邪をひけば、「早くよくなってほしい」と願うのに、風邪が治れば「もっと勉強してほしい」「もっと習い事に集中して欲しい」「ゲームをする時間を減らして欲しい」というように要求してしまいます。

大人と同じで子どもにもキャパシティがありますし、子どもも大人と同じように納得できないことはしたくありません。

子どもも大人と同じく、ひとり人の“人”なんですね。

「こうしなさい」「なんでそんなことするの!」というやりとりは、仕事仲間や上司、ママ友、ご近所さんなど大人同士ではしないですよね。

それはお互いを尊重し合って、ひとりの人だとお互いが認識しているからではないでしょうか。

子どもは大人の所有物ではなくて、ひとりの“人”だからこそ、大人が子どもの意見や存在をまずは尊重することが大切です。

そのため、大人と子どもの間に妥協点を見つけて、「だったらこうしてみない?」というように、親子間でお互いが納得できるようにしてみましょう。

このように「この子は悪い子」とレッテルを張るのではなく、「この子はどうして欲しいんだろう?」というように考えて、子どもの欲求を見極めることが大切です。

親が心に余裕を持つことがとても大切

先ほど「子どもの意見を聞いてみましょう」「子どもをひとりの人だと尊重しましょう」とお話ししましたが、子どもの意見を聞いて、尊重して育児をしていくのは親です。

だからこそ、親が心に余裕がないと子どもの気持ちをくみ取ってあげることができなくなってしまいます。

「あなたを愛しているよ」「どんなあなたも大好きだよ」と子どもに伝えるためには、親が素直にそう思える心の環境が整っていることがとても大切です。

仕事や家事に追われる方が多いですが、ときには自分の時間を優先して、自分の機嫌を取ってあげること。

そして「今日はしんどいな…」と感じたときに、手を抜ける家事はあえて「もう今日はやらない!」と決めてやらないでおくこと。

パートナーに頼める家事や育児は、パートナーに頼ること。

この3つが、親が心に余裕を持つのにとても大切になってきます。

子どもが「愛されている」と感じると自然と自己肯定感は上がっていく

自己肯定感とは、簡単に説明すると「根拠のない自信」です。

自己肯定感が高い人は、具体的な理由はないけれどなんとなく「できる気がするからやってもみよう!」と思って、何でも挑戦できると言われています。

一方で自己肯定感が低い人は、この根拠のない自信が低いので自分に自信を持つことができていないことが多くあります。

そのためなかなか新しいことにチャレンジできずに、行動する前から「やってもムダ」というように諦めてしまうようになります。

子どもの自己肯定感を高めるためには、

  • 子どもの感情を受け止める
  • 子どもに大きな期待をかけない
  • 兄弟や姉妹と比べない
  • 子どもに「早く」といわない
  • 子どもが失敗したら怒らない

上記を意識してみることをおすすめします。

「あなたが居るだけで幸せだよ」「どんなあなたも大好きだよ」という気持ちを、ちゃんと言葉や行動に出して子どもに伝えることで、自然と子どもは安心して自己肯定感が育まれていきます。

【参照】令和元年版 子ども・若者白書(全体版)(PDF版)|内閣府 https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/r01honpen/pdf_index.html

【参照】自己肯定感が低いのは親のせい?NG言動5つと子どもを高める育て方|AllAbout暮らし https://allabout.co.jp/gm/gc/472337/

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